オプトアイランドNEWS

大阪府茨木市 の眼鏡店 opt.eyeland オプトアイランド のニュースをブログ形式でお届けしています。

カテゴリ: フィッティング関連

先セル部は、耳裏の頭部に接触する部品なので、材質が肌に優しいことはもとより、形状的には接地面を広くとり、ピークを出来るだけ作らないように圧の分散をすること、その接地面の広さによりフレーム全体の前ズレに対する摩擦力を稼ぐことが必須条件といえるでしょう。
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モダン・先セルはフレームの機能面の一つを担う大事な部品であることは、言うまでもありません。

従ってモダンレス(=この部品がないもの)や細いモダン・先セルでは、接地面積を稼げない⇒摩擦力が低い⇒眼鏡が下がるとなります。
スクリーンショット 2023-01-14 11.40.29スクリーンショット 2023-01-14 11.46.53
そこで前ズレ⇒鼻眼鏡ではフィッティング不良でマズいというこになり、前ズレを防止するためにキツメに調整をする⇒肌へ
圧のピークが出来やすく痛みが発生というケースもあります。

またはあきらめて、前ズレ➡鼻眼鏡姿を受容する。

フレームのモダン・先セルはなぜあるのかは上記の通り。また異なるメーカーであっても、ほぼ似た形をしているのは、必然性でそうなっているといえます。

常用眼鏡の前傾角が、浅すぎたり深すぎたりすると芳しくありません。
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そもそも視線とレンズ面を直交させるという目的で前傾角を設定します。では、どのぐらい前傾角を付ければ良いのかは諸説あります。

通説ではヒトの「歩行時の視線は10~20m先の地面に向いている」となっています。ただ実際10mと20mでは、かなりのひらきがあり、最大で約5度もの違いが生じてきます。

この角度は中学の三角関数の計算で出てきます。

通説の最大と最小での比較は以下の通り。
お子さん⇒身長110cm・地面から目の高さ100cmの場合、10m先は5.7度 20m先は2.9度

大人の女性⇒身長160cm・地面から目の高さ150cmの場合。10m先は8.5度 20m先は4.3度

大人の男性⇒身長175cm・地面から目の高さ165cmの場合。10m先は9.4度 20m先は4.7度

20mではかなり浅い前傾角になり、常用なのでスマホやパソコン等の近見もするわけで、その時の光の入射角を考えた場合、浅すぎるとみて良いでしょう。

なお通説の近見用眼鏡の前傾角は15度とされています。これは約6m先の地面に視線を傾けた時の角度と同等です(身長170cmの場合)。

従って常用眼鏡において20mの想定はやや無理があり、10m先の地面とするほうが自然であり、前傾角の設定もそれに合わせる方がベターでしょう。

まず度数はこちらです。
RS-5.75
LS-6.25 PD66(常用)
この度のレンズを入れたフレームを(1)とします。
(1)⬇     
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image-1

度数とレンズ種は同じで良いので、
それを(2)のフレームに入れたとします。
(2)⬇
image-2

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加工に誤差はなく、完全にコピーして、
フィッティングにおいても、レンズと目の距離(頂間距離)を同じぐらいにしたとします。

なのに、何かが違う。装用感覚が違うような気がする。さて何が違うのでしょう?

(1)は前傾角(傾斜角)が5度
(2)のそれは15度

他に「そり角(wrap)」は(1)がほぼ0度で
(2)は片眼3度。

これで違いは分かりました。そこでこれらが違うと、
どのような変化が現れているのか、「この差なら慣れる」または「手を加えてみよう」という次の手の材料として量を知っておくと分かりやすいです。

まず(1)の水平視線における実装度数を知ることから始めなくてはいけません。しかし単純に
RS-5.75
LS-6.25
ではいけません。これは視線がレンズの光軸と一致した時に限られる値で、面積がないのため実際上はそこを通して見ていることは希であり、光軸外に視線が通っている事の方が多いのです。フレームがいくらかの前傾角やそり角を持てば、水平視線を基準にした場合、すでに光軸外となるわけです。(水平視線を基準とするのは、比較には何らかの基準が必要だからです。また水平視線は後側頂点を通ることを基準とします。)

では水平視線の実装度数とは?
RS-5.75
LS-6.25 
にそれぞれ前傾角とそり角を与えなくてはいけません。そうすると(1)は前傾角5度
RS-5.765C-0.043AX180
LS-6.266C-0.047AX180 そり角は0なのでこれが水平視線にした時の実装度数。

(2)では前傾角15度
RS-5.878C-0.386AX180
LS-6.39 C-0.418AX180
さらにそり角3度を与えます。
RS-5.889C-0.381AX180
LS-6.413C-0.401AX180

※Sとは球面度数(=近視・遠視の度数)
※Cは乱視度数、AXは乱視軸(=角度)

つまり「何かが違う」「装用感覚が違うような気がする」というのは
(1)
RS-5.765C-0.043AX180
LS-6.266C-0.047AX180 と
(2)
RS-5.889C-0.381AX180
LS-6.413C-0.401AX180
という角度で起こる度数変化による違和感だったのです。(AXは近似、小数点以下は3位までを表記)

しかし、意外と大きい差ですね(特に発生した乱視が約10倍違う)。

対応としては、前傾角・そり角の修正・調整になります。しかしこれら角度を調整出来ないフレームも実際に存在します。

やはりフィッティングというカスタマイズ作業、フレームのフィッティング対応性・融通性は、見え方を含めた装用感に関する最重な要素であることは間違いないわけです。

大阪は連日蒸し暑いです~。
梅雨入りした直後、カラカラに晴れ上がり、これはまた渇水-水不足になるかも・・・、と心配していましたが、ちゃんとプログラム通り雨が降りますね。


それはさておき、フィッティング関連で何か書こうと先週から模索しておりましたところ、以前献血の記事でご紹介した座間市の木部先生(MASTER OF OPTOMETRY)が、自身のブログに画像つきで要点をふまえた書き込みをなさってたので、ハイパー他力本願の^^;=リンク掛けに致します。

http://optkibebe.blog55.fc2.com/blog-entry-202.html


999.9(フォーナインズ)のS-240Tseriesは
名番と呼ぶにふさわしいモデル群です。
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↑画像はS-246T c4。<<2000年発表>>
その理由の1つはフィッティング対応度が非常に高いところです。

左右の眼とレンズの間の距離(頂間距離)など重要ポイントはいろいろありますが、一例として。 ↓
左右の耳の高さが違う
  ↓

ブライヤーで掴み曲げを加えて耳の高さに合わせるimage-1

  ↓

腕をたたんだ時に、綺麗に揃わない
  ↓
ヨロイ部を掴んで、ひねることによりその不揃いを解消image-2

ここで重要なのは、「つかみどころ」があるかないか、
これは「フィッティング対応度」的にはずせないところです。image-4

また「つかみみどころ」が有っても、材質の適度な「硬さと軟らかさ」は必要です。軟らかすぎて簡単に元に戻ったり、バネ性が有りすぎて調整を保持出来ない(形状記憶など)、または硬すぎて調整出来ないなどは論外です。その点も240シリーズは見事にクリアしています。
*前傾角(横から見た視線とレンズ裏面の角度)の調整時も、ブライヤーで似たような掴みかたをします。大変重要な「つかみどころ」です。
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さて画像のS-246Tですが、しっかり掴み所があり、カスタマイズのすべてに対応出来る優れたフレームのひとつで、名作に違いありません。

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