先セル部は、耳裏の頭部に接触する部品なので、材質が肌に優しいことはもとより、形状的には接地面を広くとり、ピークを出来るだけ作らないように圧の分散をすること、その接地面の広さによりフレーム全体の前ズレに対し、静止摩擦を稼ぐことが必須条件といえるでしょう。
つまりメガネフレームの機能面の一つを担う部品であることは、言うまでもありません。
しかしながら、昨今取扱を終了したフレームでは、接触面が丸みを帯び、肌への接触ではピークが出来やすく、丸いがゆえに、接地面を稼げないという不可思議な形状を持っていました。
そして前枠が軽かろうが、重かろうが、それは一貫していて、ある意味、美意識は統一されているものの、機能商品であるメガネフレームとしては、チタミックスーパータフに及ばないです。
この部分は、ほかの身の回り品で例えるのは、なかなか難しいです。
あえて言うと、全く違うジャンルになりますが、パソコンのマウス。多少の軽重や付加機能の多寡があるにせよ、手指への接触が伴いますから、持ちやすい・操作しやすい等、人が触って使うモノとしては、皆だいたい似た形状へと必然的に収斂されて来たと考えても良いのかなと思います。
時たま、突飛なデザインのマウスが現れたとしても、それは人が使いやすいかどうかというところで、評価が決まることは言うまでも無いでしょう。
フレームの先セルに関して、異なるメーカーであっても、ほぼ近い形をしているのは、同様に必然性でそうなるといえます。
結論的に偏った美意識のみの発想では、うまくいかない部位です。